ロレックスオーナーになったら、どのタイミングでオーバーホールをすれば良いか悩む人が多いのではないでしょうか。
「3年に1度でいい」「5年に1度」「10年以内に1度で大丈夫」など、人によってさまざまな意見があります。
今回は、ロレックスのオーバーホールの時期について詳しく紹介します。ロレックスを持っている方はぜひ参考にしてください。
オーバーホールまでの使用期間
オーバーホールとは、機械の部品を一つひとつ丁寧に点検することを指します。
ロレックスは高品質が売りではありますが、長く使っていれば必ず劣化します。
そのため、精密機械であるロレックスは、定期的にオーバーホールすることが求められます。
では、どのくらいの使用期間でオーバーホールすれば良いのでしょうか。
メーカーが推奨する目安期間や実際にロレックスオーナーがオーバーホールに出す頻度について紹介します。
メーカーが推奨する期間は?
オーバーホールの適切な時期については、メーカーであるロレックスが推奨する期間に従うのが良いでしょう。
ここからは、日本ロレックスの公式サイト内に記載されているオーバーホールに関する情報についてお伝えします。
日本ロレックス公式サイトでは「10年以内」
ロレックスの公式サイト内の「よくあるご質問」ページには、オーバーホールに関する質問が掲載されています。
「どれくらいの頻度でオーバーホールを受けるべきですか?」という質問に対して、オーバーホールを「定期的」に受けることを前提として「およそ10年以内」と回答されています。
オーバーホールは、主に時計の精度や防水性能を維持することが目的です。
10年以内というのはあくまで目安であり、モデルや使用状況によって適切な時期は異なるので注意しましょう。
10年より早いタイミングで時計の精度や防水性能が落ちたと感じたら、早めにオーバーホールをすることをおすすめします。
以前は「5年に1度」だった期間が延長された理由
以前のロレックスでは、5年に1度のペースでのオーバーホールを推奨していました。
そのため、現在でもロレックスのオーバーホールの頻度を「3〜5年程度に1度が適切」だと考えている人は少なくありません。
しかし現在では、「10年以内に1度」に変更されています。
オーバーホールの期間が10年に延長された理由として、使用されている部品の耐久性がアップしたことが挙げられます。
ロレックスが公式に「10年以内に1度」とアナウンスしているということは、自信を持って耐久性がアップしたといえるようになったのだと考えられます。
またロレックスオーナーの数は年々増えているため、オーバーホールの依頼数も増加しているのではと予想されています。
近年の高級時計市場の成長により、職人の数が足りなくなり対応しきれなくなったのではないかという声が出ているのです。
コロナ対策でアフターサービスに制限もあるため、全ての依頼に対応しきれないのではと推測している人もいます。
ロレックスオーナーが実際にオーバーホールを依頼する頻度は?
ロレックスが推奨するオーバーホール期間が10年以内に1度へと変わり、マージンの幅が大きくなりました。
そのため、ロレックスオーナーの中には、いつオーバーホールをすれば良いか迷っている人も少なくないことでしょう。
ここからは、ロレックスオーナーが実際にオーバーホールに出す頻度を紹介します。今後の参考にしてください。
ある修理専門店での依頼年数は7~10年
ロレックスの購入からオーバーホール依頼までの期間を調査した統計はありません。
そもそも時計のモデルや使用状況などにより、オーバーホールの時期は異なります。
ロレックスの保証期間(国際保証)は5年であるため、保証期間が過ぎてからオーバーホールを依頼するオーナーが多いといわれています。
都内で営業している、ある高級腕時計の修理専門店によると、依頼客のほとんどが7〜10年程度の期間でオーバーホールをしているそうです。
しかしこのペースは、定期メンテナンスとしては少し遅いくらいです。
特に使用頻度が多い場合は、内部にある程度ダメージがあると予想しておいた方が良いかもしれません。
使用頻度によっては、時計内部でオイル切れが発生して部品が劣化し始めている可能性があるからです。
内部を確認してもらった結果、オーバーホールではなく部品の交換といった修理対応になってしまうケースも考えられます。
遅くても保証期間が切れる5年を目安に、オーバーホールの依頼を検討するようにしましょう。
使用状況によってオーバーホールまでの期間は変わる
「仕事のある日は毎日ロレックスを着用している」という愛用者も多いことでしょう。
中には仕事でもプライベートでも身につけており、週7日ロレックスを使っている人もいるかもしれません。
時計の使用頻度が高いと、それだけ外気温や湿度の影響、衝撃、磁気や電磁波の影響をたくさん受けることになります。
ほぼ毎日ロレックスを身につけているなら、3〜4年程度に1度の頻度でオーバーホールを行うのが無難です。
使用頻度が低いからといって不具合が出にくいとはいえませんが、使用状況に注意すれば良い状態を長く保てるでしょう。
オーバーホールに依頼すると、決して少なくないコストがかかります。そのため、オーバーホールの頻度が高ければ高いほど、コストがかかると思われがちですが、必ずしもそうとはいえません。
故障してから修理に出すと基本的に部品交換が発生するため、オーバーホールを依頼せずにそのまま放置しておくと結果的に修理費用が高額になってしまうのです。
無駄なコストをかけないために、自分の使用状況を考慮して適切なタイミングでオーバーホールの依頼をしてください。
使用年数による時計内部の劣化状況
オーバーホールの適切なタイミングを判断するのは難しいといわれています。
しかし経年劣化の目安を知っておけば、メンテナンスに出す判断の助けとなるでしょう。
ここからは、使用年数による時計内部の老化状況について解説していきます。
5年以上で防水性能が落ち始める
ロレックスをほとんど使用していなかったとしても、ゴムパッキンの経年劣化は避けられません。
ゴムパッキンとは防水性能に関わる部品のことです。
ゴムパッキンは年数を経るごとに徐々に硬化していくため、定期的に交換する必要があります。
ゴムパッキン交換の目安は5年です。
それ以上の期間が経つと、新品のときより防水性能が大幅に下がってしまうでしょう。
時計内部に水が入ると、オイル切れよりも深刻なトラブルを引き起こす恐れがあります。
気づかないうちに防水性が下がったということにならないように、早めにオーバーホールをしておくことをおすすめします。
また、この時期にはオイルの乾燥も進んでいるため、部品が消耗摩耗するリスクも考慮すると、5年以内にオーバーホールをするのはいいタイミングだといえるでしょう。
10年以上経つと修理が必要になるケースが増える
時計の使用頻度がそれほど高くなく、水分や湿気に十分注意して使っている場合は、10年間オーバーホールをしていなくても正常に動作する可能性があります。
とはいえ、保証期間の5年を経過しているなら、急に何かしらの不具合が起きても不思議ではありません。
時計を使っていなくてもオイルの乾燥や劣化が進むため、そのまま使用していると内部部品の深刻なダメージを引き起こしている可能性があります。
10年以上オーバーホールをせず、異常に気付いてから依頼すると修理対応になってしまうので注意が必要です。
正常なうちにオーバーホールを出したと思っても、内部劣化により部品交換が必要になるケースが多いと考えておきましょう。
また内部の状態によっては、修理しても完全に回復できないこともあります。
そのため、10年以上オーバーホールをしていないと、ロレックスの価値が下がってしまうこともあるので気をつけてください。
オーバーホールを依頼してから完了するまでの期間は?
自分が所有しているロレックスをオーバーホールに出すと決めたら、手元に戻ってくるまでの期間が気になることでしょう。
依頼から完了までに要する期間は、オーバーホールの依頼先によって異なります。
ここからは、日本ロレックスと時計修理専門店に依頼した場合のオーバーホール期間について解説します。
日本ロレックスで依頼した場合
メーカーのアフターサービス窓口である日本ロレックスへ依頼した場合、作業日数は約1ヶ月です。
ただし、オーバーホールに出す時計のモデルや状態、交換する部品の在庫状況によって作業期間は変動します。
分解、洗浄、組み立て、注油、研磨、各種検査などオーバーホールの作業工程は多く、全ての工程が完了するまで一定の期間が必要となります。
見積もりから依頼、点検、返送などの期間を含めると、1ヶ月半〜2ヶ月程度はかかると考えておいた方が良いでしょう。
日本ロレックスに依頼したオーバーホールが終わったら、2年間有効な国際サービス保証書を発行してもらえます。
ロレックスを売却する際に国際サービス保証書があると、プラス査定の対象となる場合があるので大切に保管しておくことをおすすめします。
時計修理専門店で依頼した場合
日本ロレックスではなく時計修理専門店にオーバーホールを依頼する場合でも、作業工程はほとんど変わりません。
時計修理専門店にロレックスを持ち込みまたは発送すると、1週間前後で見積もり結果を伝えてもらえます。
時計修理専門店にオーバーホールを依頼しても、日本ロレックスと同様にオーバーホールが完了するまで1ヶ月程度はかかると考えておきましょう。
ただし、オーバーホールに出すときの時計の状態によって、この期間は大きく変動します。
内部の状態が比較的良好で簡単な作業で済むなら、日本ロレックスに依頼するより短納期で戻ってくるケースもあります。
逆に、交換部品をたくさん取り寄せたり、取り寄せが難しい部品を取り替えることになると、正規窓口以上に修理期間が延びる可能性があるので注意してください。
なお、時計修理専門店に依頼する場合、店舗ごとに保証期間が異なります。
時計修理専門店にお願いする前に、オーバーホール後の保証期間についても確認しておくと安心です。
ロレックスのオーバーホールまでの期間を延ばすには?
ロレックスを丁寧に扱うと、オーバーホールや修理が必要になるまでの期間を延ばせる可能性があります。
仮に3年に1度のオーバーホールを6年に延ばすことができれば、費用が半分で済みます。
通常はロレックスの寿命は10年といわれていますが、寿命も延ばして長く愛用することができるでしょう。
ここからは、ロレックスのオーバーホールまでの期間を延ばす方法について紹介します。
磁気や電磁波の発生場所から遠ざける
ロレックスに限らず、精密機械である時計は磁気や電磁波から悪影響を受けやすいのが特徴です。
電子レンジやスマートフォン、家具やバッグのマグネット部分などの近くで、ロレックスを保管しないように気をつけてください。
パソコンやスマートフォンを使うときは、そのままロレックスを着用していても問題ありません。
しかし、ロレックスを保管する際は、磁気が発生する製品から5cm以上離しておきましょう。
また、一時的な「止まり」「進み」「遅れ」程度なら問題ありませんが、強い磁気を受けすぎてムーブメント内部に磁気が残った場合は精度が悪くなってしまいます。
磁気や電磁波でロレックスの調子が悪くなった場合は、時計修理専門店などで磁気抜きを行う必要があります。
時計修理専門店に持ち込んで磁気抜き専用の道具で対処してもらえば、簡単に磁気を除去することが可能です。
とはいえ、磁気や電磁波の影響を受けないように、磁気などが発生する場所からなるべく遠ざけてください。
長期間使用しないときもオイルを循環させる
ロレックスを長持ちさせるために、時計の使用回数を減らしている人も多いことでしょう。
しかし長期間使用しない場合、内部でオイルが凝固してしまうリスクがあります。
オイルが凝固すると内部の機構が上手く機能しなくなり、部品の劣化やリューズの操作不良が起こる原因となります。
結果としてオーバーホールの時期を早めたり、ロレックスの寿命を縮めたりしてしまうかもしれません。
そのため、ロレックスはなるべく頻繁に使用した方が良いといわれています。
ロレックスを使っていなかったとしても、最低でも1ヶ月に1回程度はゼンマイを巻き上げるようにしましょう。
ゼンマイを一杯まで巻き上げて24時間以上駆動させ、機構全体にオイルを循環させてください。
自分で対応するのが難しい場合は、自動でゼンマイを巻いてくれるワインディングマシーンを利用するのも良いでしょう。
水気には注意する
ロレックスのオイスターケースは優れた防水性能を持っています。
しかしオーバーホールをせずに5年以上経過しているなら、過信は禁物です。
理由の一つとしては、ゴムパッキンの劣化が考えられます。
ゴムパッキンは防水機能も果たしているからです。
またリューズがきちんと締まっていないことも原因となります。
リューズは時計の内部とつながっているため、そこから水が入ってしまう恐れがあるのです。
リューズ部分に汚れが溜まると閉めにくくなるので、リューズをこまめに清掃することも大切です。
時計が濡れたまま、あるいは濡れた手でリューズを操作するのも避けましょう。
時計の内部に水が入ってしまうと、ガラスが曇ったり結露が発生してしまいます。
部品の多くは金属でできているため、早めに対処しないと内部機構が錆びたりしてしまう危険性があります。
ガラスを取り外して拭けば良いと考える人もいますが、自分で対処する行為は危険です。
時計の故障やガラスの破損につながるので、必ず専門業者に対処を依頼してください。
オーバーホールや修理に出したロレックスの買取価格は上がる?
オーバーホールに依頼するのはロレックスを長く使用するためです。
そして、もう1つの理由は買取価格を高める意味もあります。
しかし、必ずしもオーバーホールや修理に出して得するとは限らないため、ロレックスの売却を考えているオーナーは注意しましょう。
買い取り前にオーバーホールはしなくてもよい理由
ロレックスを売却する予定があるなら、オーバーホールをする時期になったとしてもメーカーに出すのは見合わせた方が良いかもしれません。
確かにオーバーホールをした方が買取価格が上がる場合があります。
しかし、オーバーホール料金が価格上昇分を上回ってしまい、結果的に損をするケースが少なくありません。
買取業者は自社で再販売する仕組みを持っており、個人に比べて安い価格でオーバーホールや修理を行えます。
オーバーホール料金より安い修理費用が上乗せされるため、ホーバーホールをしない方がお得になることがあるのです。
なお、モデルや状態によって価格が異なるので、オーバーホール前に査定をしてもらって修理費用と買取価格の見積もりを確認することをおすすめします。
買取価格が大きく下がるケースもある
アンティークのロレックスは、発売当時の状態が好まれる傾向にあります。
傷んでいる文字盤や風防などの部品交換は、ヴィンテージ感が損なわれるので買取価格に影響が出てしまいます。
ロレックスは製造が終了してから30年経つと、修理用のパーツを持たなくなります。
そのため、他のパーツを流用して修理が行われてしまい、発売時と見た目が変わってしまうのです。
また昔と今では蛍光塗料が異なるため、オーバーホールで塗料が塗り替えられると価値が大幅に下がってしまう可能性もあります。
20年以上前のヴィンテージモデルを所有している場合は、オーバーホールの時期が過ぎたとしても、日本ロレックスのアフターサービスを利用しない方が良いでしょう。
ロレックスの時計は5年を目安にオーバーホールしよう
ロレックスをオーバーホールに出すまでの使用期間は5年が目安です。
オーバーホールを依頼する場合、日本ロレックス・時計修理専門店ともに1ヶ月程度かかることを覚えておきましょう。
また将来的に売却を考えているなら、オーバーホールをしない選択肢もあります。
オーバーホールをする前に、1度買取エリートで査定してもらってみてはいかがでしょうか。