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時計

公開日:2022/07/26

最終更新日:2024/11/21

日本ロレックスのオーバーホール料金が値上げ! 依頼するメリットはある?

高級腕時計ブランドとして知られるロレックスのオーバーホールは、ロレックスのサービスセンターに依頼するのが安心ですが、料金が数年前に値上がりしました。

値上げされたロレックスのオーバーホール料金を紹介し、ロレックスに依頼するメリットやオーバーホールの流れと注意点、修理専門店に依頼する場合の基準を解説します。

日本ロレックスのオーバーホール料金

ロレックスのオーバーホール料金は、2019年10月に値上げされました。

例えばエクスプローラー2(Ref.16570)は値上げ前は4万9500円(税込)だったオーバーホール料金が、値上げ後には7万7000円(税込)になっています。

ここでは、値上げされたロレックスのオーバーホールにかかる料金を説明します。

値上げ後のオーバーホール料金(基本技術料)

ロレックスのオーバーホールの料金(基本技術料)には、研磨や洗浄の料金が含まれます。

同じモデルでもコンビや金無垢など、素材によっても料金は異なります。

2022年現在の、ロレックスのオーバーホール料金(税込)をまとめると次のとおりとなります。

デイトナとデイデイトの基本技術料は8万8000円からです。

技術料が7万7000円からとなるモデルにはエクスプローラーとGMTマスター、サブマリーナーとサブマリーナー・デイトがあります。

シードゥエラーやディープシー、ヨットマスターやミルガウスもこの価格帯です。

デイトジャストは7万1500円から、オイスターパーペチュアルの技術料は6万500円からとなります。

GMTダイヤルと年次カレンダーという、複雑な機能を搭載しているスカイドゥエラーのオーバーホールは11万円からです。

オーバーホールにかかる費用の総額

腕時計のオーバーホール自体は分解して内部の点検、清掃や必要なケアをおこなう作業ですが、同時に劣化部品も交換します。

したがってオーバーホールの料金には、交換する部品代も加算されています。

個体によって交換部品の数や金額が異なるため、費用総額は一概にはいえません。

オーバーホール費用総額の一例を挙げると、デイトナ(Ref.116520)の場合はリューズ交換が5500円でチューブ交換が1650円、プッシャー交換が2個で3万6300円(1万8150円×2)となっています。

部品交換の総額は4万3450円となり、基本技術料の8万8000円と合わせた合計は13万1450円です。

ロレックスのアフターサービス包装キットで送る場合には、依頼者が送料を負担するので送料を入れたものがオーバーホールの総額になります。

サービスセンターや正規品販売店での受け取りなら送料はかかりません。

日本ロレックスにオーバーホールを依頼するメリット

腕時計に限らず、メーカーによる正規メンテナンスは割高になりやすい傾向があります。

高額な料金を払ってでも、正規店でオーバーホールをしてもらう価値はあるのでしょうか。

ここでは、ロレックスにオーバーホールを依頼するメリットについて解説します。

保証書の発行

ロレックスでオーバーホールすると、正規のメーカーでオーバーホールをしたという証明となる「国際サービス保証書」が発行されます。

発行日から2年間は修理箇所について、通常の使用で生じた不具合や故障を無償で修理・調整してもらうことが可能です。

何らかの理由で購入時の保証書がなかったとしても、ロレックスでオーバーホールすることで保証書ができます。

この保証書はロレックスの腕時計を売却する際に付加価値のある付属品となり、買取店での査定額がアップします。

本物の証明

当然のことながら、ロレックスでは偽物の腕時計の修理は受け付けていません。

逆にいえばオーバーホールの依頼ができたということは、紛れもなく本物のロレックスであることを意味します。

真贋の確認のために、あえてロレックスにオーバーホールを依頼するオーナーもいるほどです。

したがって、保証書は「ロレックスが本物であることの証明書」にもなります。

交換部品はすべて純正品

ロレックスのオーバーホールでは、純正部品のみを扱っています。

代替部品への交換は一切ないため、オーバーホールの信頼性が非常に高いといえます。

製造が終了したモデルでも一定期間以内なら部品をストックしている可能性が高く、部品があればオーバーホールを受けられます。

国内では日本ロレックス株式会社がロレックスの修理技能を認定した「日本ロレックス認定技術者」が在籍している修理店を「日本ロレックス技術公認店」として認定し、純正部品や専用工具の供給をしています。

一般の修理専門店では海外で買い付けなどをしているため、純正部品の価格がロレックスが供給するものより高くなる傾向があります。

研磨や点検も料金内

基本技術料の章でも述べましたがロレックスのオーバーホールでは、表面の細かなキズを消すための研磨作業もオーバーホール料金に含まれています。

一般の修理専門店のオーバーホールでも簡単な研磨はしてもらえますが、ロレックスがデフォルトで行うレベルを求めると多くの場合別料金になります。

ロレックスでは耐圧検査も行い、防水性能を確認しています。ロレックスのダイバーズモデルに適合した本格的な耐圧検査は、ロレックス以外ではまず不可能だといわれています。

一般的な修理専門店のオーバーホールは、顧客のニーズに合わせて行われるため内容はそれぞれです。

日本ロレックスのオーバーホールの流れ

ロレックスに初めてオーバーホールを依頼する場合、受付窓口の所在や修理期間、支払い方法など不明な点が多いかもしれません。

オーバーホールでの作業内容も、知りたいポイントの1つでしょう。

ここではロレックスでのオーバーホールの流れと、作業内容について紹介します。

受付場所

オーバーホールはロレックスの支社にあるロレックスサービスセンターと、2022年7月の時点で全国に62店舗ある正規品販売店で受け付けています。

サービスセンターは東京に2箇所と、大阪・広島の合計4箇所です。日本ロレックス株式会社はロレックスの日本代理店で、ロレックス支社の1つであるロレックスサービスセンター東京(丸の内)に併設されています。

最寄りの正規品販売店・サービスセンターはロレックスの公式サイトで検索できます。

純正品であれば並行輸入店で購入していても問題なく受け付けてくれますが、正規店ではない販売店で購入して、購入店を経由してメーカーに持ち込まれた場合は手数料が加算されることがあります。

持ち込み・郵送

ロレックスのオーバーホールは、持ち込みと送付ができます。持ち込み場所は正規品販売店かサービスカウンター、東京丸の内と広島のロレックスサービスセンターになります。

東京の東陽町と大阪のサービスセンターは送付専用です。

販売店の営業時間は店舗によって異なるので、最寄りの店舗を確認しましょう。

販売店の閉店時間は、19時~20時ぐらいのところが多いようです。

東京丸の内のサービスセンターの営業時間は、10時~17時で土日が休業日です。

広島は11時~19時で、水曜が休業日になります。

サービスセンターに送付する場合は、事前に電話連絡してアフターサービス包装キットを送ってもらいます。

メンテナンス承り書が同梱されているので、住所や電話番号など漏れがないように記入しましょう。

返送用の段ボールにスポンジをセットして腕時計を丸い切り込みに固定し、メンテナンス承り書を入れて安全な状態で発送します。

包装キットには解説書も入っているので、見ながら梱包をおこなえます。

梱包時間の目安は30分です。繰り返しになりますが、送料は依頼者の負担です。

オーバーホール作業

顧客から預かった腕時計は、ロレックスの時計技術者が入念に状態を点検して見積もりを作成します。

電話で顧客の了承が得られれば、オーバーホール開始です。

腕時計はまずムーブメントとケース、ブレスレットに分けられます。ムーブメントは完全に分解され、内部の検査がおこなわれます。

ロレックスの品質基準を満たさない部品は交換されます。

超音波洗浄をおこなって乾燥させた後は、組み立てと注油です。ここでロレックスの精度基準に従って、最初の調整を行います。

ケースはミドルケースやベゼル、裏蓋に分解し、ブレスレットと一緒にポリッシュ仕上げかサテン仕上げを施します。

洗浄した後に再びケースを組み立て、パッキンを交換してからムーブメントを収めます。

検査

ケースの防水性検査は、組み立ての際に終わっています。

ケーシングの後に、機能と外観の点検もおこなわれています。

ムーブメントの注油後の調整に続いて、再び専用の測定機器で精度をチェックしてロレックス基準に最終調整します。

裏蓋を閉め、24時間以上かけてムーブメントの性能をロレックス独自の検査によって確認します。

水中での耐圧検査をおこなって、防水性能も確認できたらブレスレットの装着です。

ロレックスの厳しい基準を満たす「完璧な動作」「美しい外観」であるかといった最終品質検査を経て、オーバーホールが完了します。

返却

オーバーホールが完了すると、発送前に依頼者に電話連絡があります。

宅配便で送られるので、希望の日時の指定ができます。

依頼から手元に戻ってくるまでの期間は1カ月~2カ月程度です。

購入してからオーバーホールに出すまでの期間が長いと、メンテナンスにかかる時間も長くなります。

時計と一緒に、国際サービス保証書と修理明細書(兼請求書)が送付されます。

支払いは現金、またはクレジットカード決済が可能です。

日本ロレックスでオーバーホールするときの注意点

純正部品への交換や2年間の保証書が付くなど、ロレックスでオーバーホールをする方がよいと思うかもしれません。

しかし、ロレックスに依頼すべきではなかったと後悔するケースもあります。

ここでは、ロレックスでオーバーホールをするときの注意点を説明します。

依頼を断られる場合がある

偽物はもちろんですが、ロレックスでは正規品でもオーバーホールを断られることがあります。

想定されるケースの1つは、古いモデルで交換部品の在庫がない場合です。

ロレックスでは、ロレックスの品質基準に合わない部品を予防的に交換しています。

そのため見積もりで提示された部品交換を拒否した場合、オーバーホールを受け付けてくれないこともあります。

修理や改造によって、純正ではない部品が使われている場合も同様です。

ロレックスでは、ブレスレットの付け替えに関しても非純正パーツとみなされます。

見積もりで気付いた場合には、オーバーホール依頼時に純正品も添えれば問題ありません。

元のブレスレットがない場合は、ブレスレットの代金と交換費用がかかります。

素材が金無垢などの場合は数十万円になることもあるので、気に入ったブレスレットに付け替えている場合には純正品を大切に保管しておきましょう。

わざわざブレスレットを付け替える必要はありませんが、バネ棒もないと交換品として代金を請求されます。

研磨痩せで雰囲気が変わる可能性がある

ロレックスのオーバーホール料金には研磨代も含まれるため、断らない限り依頼しなくても研磨がおこなわれます。

研磨すると、傷だけでなく汚れもスッキリ落ちます。

しかし研磨を繰り返すと少しずつケースが小さくなり、ブレスレットは細くなってゆきます。

これが研磨痩せです。

時計の雰囲気が変わるおそれもあるため、場合によっては研磨をしない選択もありえます。

研磨しないことで、アンティーク感も演出できるかもしれません。

ただし、研磨なしでもオーバーホール料金は安くなりません。

ロレックスは、オイスターケースの防水機能によって支持されている部分があります。

研磨しすぎていると防水性の確保が難しくなるため、オーバーホールを断られることもあります。

ヴィンテージ感が薄れる

年代物のロレックスには味わいがあり、愛好家はそのヴィンテージ感を好みます。

ヴィンテージの価値は希少性にあるので実用性は二の次だったとしても、ロレックスのオーバーホールでは実用品としてメンテナンスされます。

オーバーホールによって外観が一新されたり夜光塗料が新素材になったりすれば、かえって価値が下がることもあります。

部品の交換によってオリジナリティーが失われた場合も同様です。

古いモデルを所有していて売却する予定がある場合は、オーバーホールをすると価値が上がるのか下がるのかを確認しておくと、知らずにロレックスのオーバーホールに出して価値を落としてしまうことがなくなります。

修理専門店より割高になる

ロレックスのオーバーホールはメーカーならではの高い技術力と確かな保証があるとはいえ、やはり高額です。

値上げの後は、さらに負担が増えました。

オーバーホールの程度や部品の品質などにもよりますが、料金が修理専門店に依頼したときの1.5倍~2倍ほどになることもあります。

売却するつもりや純正部品へのこだわりがないなら、ロレックスよりも修理専門店のオーバーホールが適しているでしょう。

メンテナンスの頻度を増やして、安定した状態で使いたいロレックスオーナーにも修理専門店が向いています。

修理専門店でオーバーホールするなら

何らかの理由でロレックスではなく時計の修理専門店にオーバーホールを依頼する場合、料金は3万円~6万円程度で済むことが多いです。

品質にも問題がないことがほとんどです。ただし修理専門店にも当たり外れがあるため、次のポイントを押さえておくとよいでしょう。

純正部品を扱っている修理店を選ぶ

信頼性を考えると、交換部品は純正品が望ましいでしょう。

オーバーホールしたのに、非正規品の部品のせいですぐに不具合が出るようでは意味がありません。

前述の通り、ロレックスでは改造されていない純正品だけがオーバーホールの対象です。

純正部品を使うことで、将来的にロレックスでオーバーホールできる可能性を残すこともできます。

またロレックスでオーバーホールするメリットでも挙げましたが、日本ロレックスは「日本ロレックス技術公認店」だけに純正部品を供給しています。

その他の修理店では海外で純正部品の買い付けなどをしているため、正規の料金より高くなるケースがあるので注意が必要です。

国家資格を取得しているかチェックする

ロレックスのような高価で高精度な時計のオーバーホールには高い技術力が必要です。

アナログ時計の修理に関する知識と技術を認定する国家資格として、時計修理技能士があります。

この資格には1級~3級まであり、いずれも学科試験と実技試験に合格すると資格が得られます。

学科試験では級を問わず時計と時計修理法、機械要素などの知識が問われます。

1級の実技試験ではアナログ水晶腕時計だけでなく機械式腕時計についても分解や部品交換、洗浄や注油などの技術が試されるので、この資格があれば大切なロレックスの腕時計を預けても安心です。

1級を受験する条件として、「実務経験7年以上」「2級合格後2年以上の実務経験」「3級合格後4年以上の実務経験」のいずれかを満たす必要があります。

1級時計修理技能士の資格を持つ技術者なら、時計修理に関する知識と実務経験を十分に備えた熟練者であることが証明されます。

修理専門店を選ぶ際は、1級時計修理技能士を持つ技術者がいるかどうかをチェックしましょう。

値上げした日本ロレックスでオーバーホールすべきかよく考えよう

ロレックスのオーバーホール料金が値上げされ、とまどっているオーナーが多いことでしょう。

高額であってもロレックスでオーバーホールをするメリットはありますが、修理専門店に任せたほうがよい場合もあります。

買取エリートなら状態不問で買取可能なため、オーバーホールせずに売るという選択肢もあります。

オーバーホールをするのか、売却して新しいロレックスを買うのかはよく考えて決めたいところです。

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